チンギス・ハーンは、モンゴル帝国の基礎を築いた人物です。とにかく獰猛な戦闘集団を率いたというイメージがあります。
機動力に優れた騎馬軍団を縦横に駆使して、多くの敵国の領土を奪いました。また、膨大な物量作戦により、いくつもの城や都市を壊滅させました。
敵国を征服後、モンゴル帝国を裏切った国に対しては、老若男女どころかネズミ一匹さえ殺しつくしました。そこまで徹底するのは、他の占領下の国への見せしめでもあります。
しかし、残虐な脅しだけで広大な版図を治めたわけではありません。モンゴルは人口が少ないため、武力だけでは限界があります。
武力という「ムチ」だけでなく政治政策における優れた「アメ」があったのです。
税金がやすかった!
税金がかなり安かったのです。遊牧騎馬民族のモンゴルでは、羊100頭につき2頭が税として徴収されていました。つまり税金が約2パーセントだったのです。
占領下の国の税金は、状況によってさまざまな税率だったことでしょうが、安かったことは間違いないと伝えらています。
少なくともモンゴルに占領される前より税金が安くなったため、民衆からは喜ばれたそうです。
モンゴルに征服されたおかげで、それまで蔓延していた既得権益者による横領や理不尽な搾取が減少したことも、民衆の支持を受ける理由になりました。
圧倒的に強力な軍事力によって、民衆のための健全な政治をおこなうことを可能にさせたのでしょう。
このように民衆に喜ばれる「アメ」を使ったことで、支配地の反乱も減少していったようです。
人類初の不換紙幣を使用した!
モンゴルは遊牧騎馬民族なので、商取引は主に物々交換でした。しかし、支配地が大きくなるにつれて、当然、物々交換では効率が悪く、通貨を大量に使用するようになりました。
当初は、兌換紙幣(だかんしへい)という銀や金と交換できる紙幣や貨幣で取引していましたが、モンゴルの版図が大きくなるにつれ、銀や金が不足がちになります。
銀や金に比較して通貨が増えすぎると、その通貨の信用が損なわれ価値が下がってしまいます。これではモンゴル帝国内での経済活動に支障をきたします。
そこで思い切った経済政策をおこないます。人類初の不換紙幣(ふかんしへい)の発行です。名前のとおり銀や金と交換ができない通貨です。モンゴル帝国の財務幕僚のひとりマフムード・ヤラワチによって、この政策が実行されました。
不換紙幣により、銀や金の量に影響されず、税金も不換紙幣で支払うことができるようになりました。これによりモンゴル帝国の経済活動を活発にすることが可能になったのです。
ひとこと
このほか、政教分離や信教の自由、奴隷解放などさまざまな政策を実施しました。モンゴル帝国の初期のころは、かなり民衆にとって暮らしやすい国だったようです。
しかし、やがてモンゴル帝国は分裂して、腐敗がすすみ、一部の分国を残して滅亡しました。
それでも世界の大半を征服したモンゴルは、アメとムチの使い方がたいへん上手かったといえましょう(●^□^●)
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